海外の地域別にみる医療費と、国内健康保険の給付に関して

海外では日本に比べて、米国や欧州地域(ドイツ、イギリス、フランス等)また最近では中国や新興国地域においても、医療費が高騰してきております。医療費の高騰に伴い、海外旅行保険料や現地保険料も高騰し、海外駐在員の医療費削減は大きな課題となってきております。

新興国・地域においては、経済発展による急激な物価上昇により、海外医療費の高騰が目立ってきています。最近では特に日本企業の進出が著しい中国においては、医師や看護師等の人件費の増加や、医療水準や医療ビジネスの拡大等が原因でアジア諸国の中でも突出した伸びを示しています。この海外医療費の高騰の理由が経済発展と密接に関係しているとするならば、今後新興国の急速な発展は疑うべき余地もない事実ですので、海外医療費は将来に亘って確実に高騰し続けることが予想されます。更に、日本からの旅行者や駐在員が最も多い米国においては、米国の医療事情や医療制度をはじめとする複合的な理由により90年代後半から年率10%以上という急激な海外医療費の高騰が続いており、その傾向は今後も続くと予想されているため、海外医療費の高騰は全世界共通の課題と言っても過言ではありません。

このような状況の中、多くの日本企業が海外への進出を加速させていますが、この流れが今後も続く事を前提とすると、企業は今のうちから明確なビジョンとコンセプトの基、海外医療費削減に取り組む必要があります。そのためには、海外医療費負担に影響を及ぼす原因をしっかり分析して、福利厚生とのバランスや日本国内の従業員との公平感等も考えながら、適切な削減策を実施していく必要があり、その削減策のひとつとして、国内健康保険の有効活用があげられます。

日本で国内健康保険に加入していれば、海外療養費制度として海外滞在中に発生した海外医療費も国内健康保険等に請求して、給付金を受ける事が可能です。国内健康保険は海外の医療費を日本の水準に合わせた7割相当分を給付金として支給します。そのため、医療費水準の高い米国では、医療費の19%程しか給付金として支給されず、医療費水準の低いアジア地域では、55%程が給付金として支給されます(中国:34% 欧州:23% その他地域:22%程)。多くの場合は海外旅行保険や現地の医療保険の補償の対象外となった部分(海外旅行保険を付保している場合は、歯科・既往症等)を補完する二次的な保険として利用さする傾向があります。駐在期間中であっても駐在員と企業がそれぞれ国内健康保険料を負担しているわけですから、大いに有効活用したいところですが、海外から申請する場合、その手続きが非常に煩雑なため、残念ながら制度自体が積極的に利用されていないのが実情です。

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海外の地域別にみる医療費と国内健康保険の給付に関して(PDF/535KB)


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